その他、関節および内蔵機能強化策

構造医学診療は症状緩和や機能代替が本旨ではなく、自立的な機能の回復と維持および強化を目的としています。
生物にはもともと自己修復能が備わっており、生活環境と日常動作によってからだの状態は決まっていきます。とくに注目すべきところは、からだの生理状態が重力に従って骨格や内臓の構成に変化をもたらし、熱の代謝にも様々な影響があることです。こうした問題が様々な症状や機能障害に結びついています。事故など外傷によるものであっても基本的に同じです。
つまり疾病の大半は日常生活の乱れや悪影響が引き起こしているので、その改善強化に向けた直接的かつ間接的アプローチが本質的な治療となるわけです。
当院ではこの趣旨に基づいて、あえて疼痛緩和など性急な結果は求めず、再発を繰り返すことのない壮健なからだに体質改善できるよう対策します。

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頚部および肩背部の痛みや障害

頭部の重量は5kg位にもなるので、普段からこれを支える頚肩背部への負担は相当のものです。頚部で構造障害が起きると、頭部の支持性が弱まってこれを支える筋肉や神経に影響があり、痛みや痺れはもとより目眩や頭痛など様々な症状が起こりえます。
頚部の障害で特に注意しなければならないのは交通事故でしょう。一般には頚椎鞭打ち損傷として対処されていますが、受傷後ただちに症状が出るとは限りません。数日経ってから疼痛や眩暈などの症状が出てくる場合があり、原因不明と判断されることも少なくないのです。急性症状があり直ちに治療を受けたとしても、事故の影響が頚椎にどう作用して症状に至ったか判らなければ有効な治療は望めないでしょう。
背部の症状は頚部や肩部の状態に起因する場合が多く、関連づけながら診る必要があります。
いづれにしても局所症状だけに囚われることなく全身をひとつとして総括し、構造的な障害を解決していくことが治療への近道になります。

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不眠、頭痛および失調症状

不眠や頭痛は近年増えている症例ですが、現状では病院や診療所でもまだ有効な治療法がありません。病医院では催眠薬や精神安定薬などが出されますが、あまり有効でない場合が多いと聞きます。医師も現状の対応を続けながらも、他に有効な方法がないか色々模索しているようです。
このような現状をふまえて構造医学が提案している方法が局所頭部脳冷却システムです。
この対処法は「頭寒足熱」という人体の生理状態を物理的に改善していく方法で、からだの生理状態が健全化すればこれらの諸症状は自ずと解決されていくという考え方です。
不眠や頭痛は過度の負担による脳の疲れであり、この症状がある人は頭が熱発して脳圧も上がっている傾向があります。脳はからだの生理状態をコントロールしている最高中枢ですから、ここがダメージを受けると疲労や倦怠感等どんな症状でも起こり得ます。まずは脳温と脳圧を下げるためにクールダウンが必要ということです。
さらに、頚部の構造障害がこれらの症状を引き起こす本態であることも踏まえ、場合によっては構造医学診療と組み合わせて頭部冷却システムを行うこともあります。

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※この図が示していることは熱エネルギーがどのように出入りしているかを示したもの。(体内に蓄積されることが避けられない熱エネルギーを人体はあらゆる方法で排出しようとしている。)

腰部痛および坐骨神経痛と障害

坐骨神経痛は腰痛の種類としては良く耳にする症例でしょう。腰部から下肢に跨る支配神経の中でも最大のものだからです。ただし腰痛だからといって坐骨神経由来の症状とは限りませんし、神経性の症状であったとしても解決のためにはどのような素因が症状に結びついているか知る必要があるでしょう。
整形外科など医療界の一般認識では”神経が関節の間で押さえつけられたため”(神経圧迫説)としています。これに対し、構造医学では”神経が関節の間で引っ張りを受けたため”(神経牽引説)と理解しています。地球には重力がありますから、その影響下にある人体が押す力(圧迫等)に弱いというのは不自然であり、むしろ引く力(牽引等)にこそ弱いのではないかということです。もちろん腰痛は大変多い症状なのでもっと問題が複雑な場合もあります。
腰痛のメカニズムについてここでは述べませんが、腰部の中でも”体重軸受け”機能を持つ骨盤は人体の”かなめ”であり全身に大変影響のある重要な部位であることは間違いありません。どのような方向性で治療にあたるかは治療技術以上に重要なことなのです。

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筋および骨関節の疼痛と障害

手首や膝の痛み腕や足の痺れ等は、意外に身近な症状で原因も含め様々な態様があります。病院や診療所では外科や麻酔科で痛み止めの注射か薬を処方されるのではないでしょうか。この方法では短期的には症状を抑えられますが、対症療法なので根本的な解決にはなりません。では、理学診療科のリハビリテーションや整骨院、整体院のマッサージ類はどうでしょう。これらの取り組みは対症療法を目的としてなければ有効なのですが、見逃しているポイントも多く見受けられます。
リハビリテーション自体は大変奥の深い学問で取り扱う範囲も多様ですが、運動機能回復に限って云えばマッサージはこれに含まれる技術です。
一般の医療機関ではリハビリは社会復帰を目的としてその障害を克服する医学で、疾病の治療とは区別されています。つまり”病気と障害”を分けて考える傾向があります。
構造医学でもリハビリを重視していますが、構造医学的視点でのリハビリの捉え方は他の医療機関のものと異なる部分があります。
構造医学では重力を基準において構造生理の歪みを診ていくところは他の症例と同様で、病気と障害の関係も分けられないものと受け止めています。病気と障害の因果関係を考えながら全体像を見つめなおすと、新しい発見もあるのではないでしょうか。

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頚部顎関節症

歯医者さんに通院してから、首が痛くなったり腕に痺れがでてきたり頭痛や目眩がでてきたりという経験はありませんか?このような場合、もしかすると頸部顎関節症なのかもしれません。
一般的には頸部と顎部の関連性は認識されておらず、症状との因果関係も問題視されていません。しかし、構造医学ではこうした問題を“頚部顎関節症”として注目しています。

歯医者さんでの治療で歯の噛み合わせがよく話題となりますが、問題はそれに止まりません。上顎と下顎がうまく適合していないと頸椎(首の関節)まで影響がでてしまうのです。その理由は顎部と頚部が重力に従い、たがいにバランスしながら支えあう関係にあるからです。顎の噛み合わせは決して不具合だけの問題ではないのです。
顎関節と頚椎とが相関関係にあるとすれば先に挙げた症状も対処方法がみえてきます。

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